循環【UpcycleLino】× MANDALĀJU

現在、角川武蔵野ミュージアム・エントランスで展示発表している立体作品〈 マンダラーシュ MANDALAJU Seeds 〉 。この作品は、洋服製造過程で生じる<裁断くず>を再利用して新たなプロダクトを製作するプロジェクト UpcycleLinoさんとのコラボレーションによって制作したものです。今回は作品の素材として、実際にUpcycleLinoさんにご提供いただいた<裁断くず><反毛綿(わた)><再生糸>を使用いたしました!

https://store.nestrobe.com/confect/pages/upcyclelino_mandalaju

《 綻びの螺旋  Perforated Spiral 》 Installation view of 〈 マンダラーシュ MANDALAJU Seeds 〉 ©2021 Maki Ohkojima Courtesy of  Kadokawa Culture Museum Photo by Shin Ashikaga

以下はコラボレーションにあたってのステイトメントになります。

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命の切れ端を集め、そこに新たな命を吹き込むこと。

私たちが着ている服はどのように作られているだろうか。

たとえば綿の服であれば、まずは綿花が育てられる。そこから取れた綿が紡がれて糸になり、やがて反物として織られ、ある形へと裁断され、縫い合される。

たくさんの工程を経て作られたものを、私たちは日頃から身につけている。

ものを作る際には端材が出る。

Upciclelinoは端材を材料にして、もう一度生地として再生するというプロジェクトを行っている。裁断クズを集め、糸に直して、織りなおす。そのプロセスを想像して、楽しくなった。

廃棄されてしまう予定だったものが、新しい価値と共に生まれなおすこと。それは生命がずっと繰り返してきたことだ。私たちを生かしている土は無数の死の堆積だとも言われている。命の切れ端としての死は、いつだって新たな生を準備してきた。

だから、私は裁断クズをつなぎ合わせて、生き物たちの皮膚を作ってみようと思う。再生した生地や材料たちから生き物たちの身体を織りなし、そこに作品としての命を吹き込んでみようと思う。

無用とされたものたちが寄せ集まって八百万の生き物たちへと生成していく。

この世界には無用なものなどなにひとつとして存在しないのだから。

また今回のコラボレーションでは、角川で展開している《 綻びの螺旋 Perforated Spiral 》のドローイングをプリントした〈バンドカラーシャツ〉、〈スカーフ〉、〈スケッチバッグ〉の3モデルも制作。すでにリリースされており、通販サイトや角川武蔵野ミュージアムショップなどでお買い求めいただけます。

私も着用。生地が気持ちよくて、形もいいです〜〜!私としては襟に注目◎

プロダクトのドローイングは、角川武蔵野ミュージアムで展開中の《 綻びの螺旋 Perforated Spiral 》より!

「森と水と生きる」長野県立美術館

長野県立美術館で開催されているグランドオープン記念展「森と水と生きる」(8月28日ー11月3日まで)に参加しております。

現在、海なし県として知られる長野からは海洋生物である貝や鯨の化石が出土していることをご存知でしょうか。そう、かつてこの地もまた海だったんです。長い年月の中で隆起した海底がやがて山となり、今日の長野の大地がつくりだされました。そう思うと地中の化石群は、まるで土の中に眠る海のようです。

今回、長野県美さんから頂いたオーダーは空中に鯨を泳がせることで、海と地上が反転するような空間を作りたい、というものでした。

“鯨の目”シリーズは展示が本当に大変です! それを今回は3頭も出させてもらいました。一頭などは全長15メートルという大きさ。インストールにおいては空中で格闘する日々でした。

県美の皆さん、田中啓介さん、アートコミュニケーターの皆さんにめちゃくちゃお世話になりながら、なんとか作り上げることができた展示です。感謝感謝の毎日です!

そして今回は鯨の目シリーズに付け加えて、陶器の新作である《Holobiont》シリーズも出しています。天からへその緒のように垂れている紐が土に作られた陶器と石が織りなす螺旋へと接続しています。

長野県立美術館がリニューアルオープンしての記念展示、とても面白い建築の美術館なので、これを気にぜひ知っていただきたいです。とはいえ、この状況でもありますので、なかなか厳しいという方も多いと思います!

そんな時は「いつか訪れてみよう」リストに是非とも書き加えておいてくださいませ* 美術館付近にはお戒壇めぐりで知られる善光寺があり、また車で30分ほど走らせるとあの戸隠にも行けるなど(戸隠地質化石博物館は超絶おすすめです!)、驚きと学びに満ちたエリアです。もちろん長野には縄文スポットも多数あります。

https://nagano.art.museum/exhibition/moritomizu

9月11日(土)の、山口啓介さん、須田悦弘さん、松本透館長とのトークはコロナ状況によりお客さんなしの配信になりました。! 今から緊張してますっ!

ククノチ

この度、人生初の舞台美術を担当した演劇プログラムを、現代舞踏家・北村明子さんとのタッグのもと、KAATで行わせていただくことになりました!
水面下では一年前から準備を進めてきたこのプロジェクトも、7月12日の開幕までいよいよあと少し。果たしてどんな舞台となるのか、私自身もドキドキしています。
今回、舞台美術を務めさせて頂く上で意識したのは、一つの舞台上で生の世界と死の世界を行き来できるような空間を作るということです。制作過程において、実はその二つの世界はそんなにパキっとは分かれていないのかもしれないな、とあらためて感じました。それこそ私たちの身体の中にも実は生と死が常に裏表になって存在しているのかもしれない。そんなことを皆さんと一緒に会場で想像することができたなら幸いです。緊急事態宣言も続いている中で厳しい状況ではありますが、7月には多少状況が良くなっていることを願いつつ。公演期間は7月12日から19日までの一週間となります。
もしご興味ある方いらっしゃいましたら是非よろしくお願いいたします!頑張ります!!

https://www.kaat.jp/d/kukunochi
KAATキッズ・プログラム2021「ククノチテクテクマナツノボウケン」

振付家・北村明子と現代美術家・大小島真木がタッグを組み、「夏休み」をテーマに自然や生命をめぐる子ども向けダンス作品を上演。振付:北村明子 舞台美術:大小島真木 音楽:横山裕章 (agehasprings)出演:柴一平 清家悠圭 岡村樹 黒須育海 井田亜彩実 永井直也

The theater program will be held at KAAT. I will be in charge of the first performing arts in my life. The tag with Akiko Kitamura, a contemporary dancer.We have been preparing for this project for a year.In my role as a stage designer this time, I was conscious of the need to create a space where the world of life and the world of death can come and go on a single stage. During the production process, I realized again that the two worlds may not be so clearly separated. In fact, even in our bodies, life and death may always exist as two sides of the same thing. I would be happy if I could imagine such a thing with you at the stage.Although the situation is still severe with the declaration of a state of emergency, I hope that the situation will be somewhat better in July.The theater will be held for one week, from July 12 to 19.I’ll do my best!KAAT Kids Program 2021″Kukunochi Techte Kumanatsunobouken”

美術の教科書(開隆堂出版)

《鯨の目》シリーズから〈46億年の記憶  / Memories of 4,600 Million Years〉が、今年度からの中学校2、3年生対象の教科書(開隆堂出版)に掲載されることとなりました!
https://www.kairyudo.co.jp/


太田市美術館で展示させてもらった〈46億年の記憶〉は、《鯨の目》シリーズ最初の作品でもあり、いわばシリーズ制作のきっかけ、始まりの種となった作品です。私にとっても非常に思い入れの強い大切な作品であります。
学生の皆さんにこんな形で作品を見ていただけること、とても嬉しいです*!何年間も通って各学校に壁画を描かせていただいた秋田県美郷町や、地元の東久留米市もどうやら、中学校2、3年生の教科書に開隆堂出版さんを使っているとの噂を聞きました! ご縁を感じます。


このように作品を作り続けられていること、作品を教科書に選んでくださった方々、そして大きく取り上げてくださった開隆堂出版さんに感謝です*
ぜひ中学校の皆さんが美術を通して逞しい想像力を養い、当たり前を疑う心を持ち続けてくれることを願います。


本当に大事なことは目に見えないことが多いのだから。

『コロナ禍をどう読むか 16の知性による8つの対話』(亜紀書房)

昨年の春の緊急事態宣言から続いてきた対談シリーズ、遂に書籍としても本日発売です!
これらの対話たちを聴きながら、ドローイングし続けた1年間。シリーズでは挿画を描かせていただいていました。
本でも装画を手掛けさせていただいております。
ぜひお手に取ってご覧ください*

『コロナ禍をどう読むか 16の知性による8つの対話』(亜紀書房)

https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=999&st=1

奥野克巳、近藤祉秋、辻陽介 編
装丁:五十嵐哲夫
亜紀書房: 田中祥子、内藤寛

■ TALK 01 奥野克巳 × 近藤祉秋
ウイルスは人と動物の「あいだ」に生成する

■ TALK 02 逆卷しとね × 尾崎日菜子
接触と隔離の「あいだ」を考える

■ TALK 03 吉村萬壱 × 上妻世海
私と国の「あいだ」を/で問い直す

■ TALK 04 清水高志 × 甲田烈
既知と未知の「あいだ」の政治

■ TALK 05 松本卓也 × 東畑開人
心と身体の「あいだ」を考える

■ TALK 06 山川冬樹 × 村山悟郎
隔離され、画像化された二つの「顔」、その「あいだ」で

■ TALK 07 辻村伸雄 × 石倉敏明
歴史と神話の「あいだ」の実践

■ TALK 08 塚原東吾 × 平田周
グローバルとローカルの来たるべき「あいだ」へ

最後の写真は表紙に使った作品です!

《世界に見られている。Worlds are looking at me.》
2015
pencil and acrylic on Arche paper mounted on panel, leather. variable size

雪国の厳しさと美しさと


本年もどうぞよろしくお願いいたします。

写真は北国の風景たちです。昨年年末は雪国でした。雪の厳しさと美しさと。。!
しかし、あまりの豪雪なので心配であります。。

山の中では、男鹿がどっしりと凛とした目つきで、こちらを見ていました。

最後の写真は秋田のおもろさんで、セクシー大根に描いたミニ道祖神です!みんなが無事に過ごせますように。


カルチャーアイコンに宿る都市の野生 ― Timberland「6-INCH BOOTS」が大自然に還るとき

千賀さん、辻さんと作りました*
ABC-MARTさんが主催するこの企画。選んだくつはTimberlandです*

僕たちの足元には「土」があり、またその「土」をうごめき、僕たちの生を支えている無数の生命がいます。それこそ植物は動かないけれど世界と常につながっている存在ですよね。

下のリンクから記事が読めます。ぜひご覧ください*

https://gs.abc-mart.net/story/4862/

Photo by Kenji Chiga

辻陽介:都市という場所は、他の生命に生かされているだけの人間が、あたかも自立していて自力で生きているかのように錯覚してしまうことができる場所だと思います。

僕も、大小島さんや千賀さんだって、日々その錯覚に陥っている。例えば、スーパーで売られている魚の切り身から、水中で生きる魚をいちいちイメージなんてしない。

それはある意味で仕方がないことでもあって、だからこそ、そうした錯覚が錯覚に過ぎないということを意識する契機を持つことが大事だと思うんです。

そういう僕らなりの生活感覚に根ざした葛藤を、作品を通して追体験してもらえたらいいなと。

── Timberland ✗ 大小島真木・千賀健史・辻陽介

✔:カルチャーアイコンに宿る都市の野生― Timberland「6-INCH BOOTS」が大自然に還るとき

東久留米の秋田緑花農園さんにて*この制作中、敷地内では堆肥が熱を出しながら発酵を進めていました。手を突っ込んだら熱いくらいの温度です!無事に小麦畑に撒かれたとのこと*

じわじわと

逆卷しとね評, エコトーンの砌(みぎり)は呪縛する

学術運動家・野良研究者の逆卷しとねさんが、練馬区立美術館「再構築展」での私の作品について、評を書いてくださいました!
こちらです!↓

https://makiohkojima.wordpress.com/2020/11/15/140/

触発が触発を生むようにして、書いてくださったしとねさんの文章。
実体験に根差したフィクションです!
エコトーンの出会いの場で絡まり合う生について。

評中より–
エコトーンの出会いの「力」は、個体や種、生態系として切り分けることのできる単位に先んじてある。エコトーンの力に晒された人間は、ゴレム池上やゴレム荒木がそうだったように、いつまでも同じ人間にとどまることはできない。人間は人間ならざる存在に変性(denature)し、他の生と絡まりあい、相互に貫入する。このようなエコトーンに本拠をもつ抱握の「力」をこそ大小島はドローするし、ドローイングは抱握の「力」そのものとして働く。—エコトーンとは:生態学において、陸域と水域、森林と草原など、異なる環境が連続的に推移して接している場所。一般に、生物の多様性が高いことで知られる。移行帯。推移帯。(コトバンクより)


千賀さん、サムさん、しんくんの素晴らしい写真も盛りだくさんです!お時間ある時に是非!!


Shitone Sakamaki, an academic activist and independent scholar, wrote a review of my work at the Group Exhibition”Reconstruction” at the Nerima Art Museum! It’s big honor for me! Great photos by Chiga-san, Sam-san, and Shin-kun!



土を介して集い、語り合い、絡まり合う、人間以上からなる土のアゴラ(広場)

「土のアゴラ」展が始まりました!10月26日(月)までの6日間。上野駅中央改札口外のグランドコンコースにて。9:00-19:00。

土を介して集い、語り合い、絡まり合う、人間以上からなる土のアゴラ(広場)です!

駅に土を持ち込んでいます。

主催: 公益財団法人 日本交通文化協会滞在制作 in クレアーレ熱海ゆがわら工房協力:株式会社良徳 | 秋田緑花農園〜タネニハ〜, アトリエ華もみじ

AlLL PHOTO by Kenji Chiga

制作中の秋田緑化農園にて

土のアゴラ

10月21日から26日までの6日間、上野駅中央改札口外グランドコンコースで作品「土のアゴラ」を展示します!

私たちの足下にある「土」に、広場を意味するギリシャ語の「アゴラ」を掛け合わせた本作では、生と死、種を超えた複数のものたちが、土を介して集い、語り合い、絡まり合う、人間以上からなる「公共圏」のイメージを、まさに公共空間である駅構内において再現することを試みています。
この展示では、頭部を陶器で、身体部分を実際の土でつくった生物のオブジェを発表致します。陶器とはそもそも、土を捏ね、火で生成し、鉱物を元にした釉薬によって彩られるもの。その陶器が土の中において実際の植物と絡まり、生態系そのものと共に一つの身体をなしています。


土と言えば、最近、”フムクラシー”という言葉をつくりました。この言葉はデモクラシーをもじったもので、腐植土を意味するHumus=フムスに、力を持つことを意味するKratos=クラトスを掛け合わしています。あらゆる存在の絡まり合いの象徴である「土」が、この世界で再び力を取り戻していくこと――フムクラシーという造語に私が託したイメージは、今回の作品「土とアゴラ」にも引き継がれています。

土のアゴラ、制作中

2019年からのおよそ1年間、私は湯河原にあるクレアーレ工房さんに通い、時に滞在をさせてもらいながら、陶器を制作させていただきました。深緑の山の麓で土に向き合い、形を捏ね、釉薬の気まぐれに一喜一憂する日々は、多くの学びに満ちた貴重な時間でした。
展示期間はたった6日間ですが、陶器に向き合い、土と語り合ってきた私の一年間をお見せいたします。もし上野駅近くを通りかかるようなタイミングがありましたら、ぜひお立ち寄りください。



本作の制作においては、陶器のレジデンスにお招きくださった公益財団法人 日本交通文化協会さん、 クレアーレ熱海ゆがわら工房さん、陶器と絡み合う植物をご提供くださった株式会社良徳 | 秋田緑花農園~タネニハ~さんをはじめ、多くの方々にご助力いただきました。心よりお礼申し上げます。感謝を込めて**



「土のアゴラ|Agorá of Multi species」
2020年10月21日(水)〜26日(月)
9:00-19:00入場無料
JR上野駅 中央改札口外グランドコンコース
主催: 公益財団法人 日本交通文化協会滞在制作 in クレアーレ熱海ゆがわら工房
協力:株式会社良徳 | 秋田緑花農園〜タネニハ〜